メッセージ
古賀 信太朗
東海大学医学部付属病院 助教
古賀 信太朗
リハビリテーション科専門医・指導医
東海大学 卒業
自身の闘病生活を経て、リハ医を目指す
2010年3月湘南東部総合病院初期研修修了後に4月東海大学リハビリテーション科入局、以降大学付属病院をローテーションし、2016年4月から東海大学医学部付属病院リハビリテーション科勤務、現在に至ります。
私が他の医師と決定的に異なる点は、10代の時の脳出血後遺症で右半身麻痺がある点です。長期の入院生活を経たあと、将来について心底悩みました。同様の体験をした人々に私にしか出来ないアドバイスもあるのではないかと、発想を転換し医師になることを決意しました。医学部受験、学生時代そして研修医時代と決して平坦な道ではありませんでしたが、なんとか初志貫徹しリハビリテーション医として勤務できるまでになり、本当にこの道を選んでよかったと思っています。
社会生活を再構築する役割を担う
現在は平均在院12~13日の急性期大学病院本院で、脳卒中、骨折、誤嚥性肺炎、切断、移植前後の血液がんなど多岐にわたる症例のリハビリテーションに関わっています。その他、神経伝導・筋電図や嚥下造影など検査業務も行っています。
社会生活を再構築する役割を担うなど患者とどっぷりと向き合えるところが他の科にはない素晴らしい点だと思います。本人・家族から感謝されることも多く、そういった経験の繰り返しがモチベーション維持にもつながります。当然リハビリテーション療法士との結びつきは強くなります。時には議論を戦わせつつ、時にはワイワイとお酒を酌み交わす大勢の仲間がいるというのはとてもいいものです。
神奈川県西部には慢性的にリハビリテーション専門医が不足しており、これからの高齢化社会を見据えればニーズがとても高い分野と思っています。いつか身体の不自由な高齢者を対象としたクリニックを開設してみたいという夢があります。
リハビリテーション効果のエビデンスを解明していく
リハビリテーションの分野には実はエビデンスがはっきりせず、従来からずっと行われてきたからという理由で漫然とやられている治療・手技があります。近年になって、さかんにリハビリテーションにおける臨床場面では主観的側面を極力避け、多くの客観的情報に基づいて臨床研究を行う必要があり、適切な評価を継続的に行い、リハビリテーション効果を客観的に示していかなければならないと言われるようになりました。それらを一つ一つ解明していくことは、大学のリハビリテーション科の使命です。患者さんの診療や学生の教育と並行して行なわなくてはいけない研究はかなり根気がいる作業です。しかしリハビリテーション科専門医・指導医は既に取得した今、学位取得を目標に研究にも積極的に取り組んでいきたいと思います。
私は磁気刺激を用いた脳の可塑性や大脳白質病変が嚥下機能に及ぼす影響について研究しています。大脳白質病変の研究では、実体積計測などで放射線技術科に大変お世話になりました。他部門に気軽に頼める関係である点も恵まれた環境だと思います。
プライベートも充実できる
当講座は全国の大学のリハビリテーション科の中でも古くから講座を持っていた老舗であり、長年にわたって様々な大学から人を受け入れてきていることもあって、全く学閥はありません。またチーム医療という特長を生かせばオン・オフがはっきりするので、子供の運動会や授業参観にも都合をつけて行くことが可能であるというのは、大きいことではないでしょうか?
私自身は、休日に脳卒中経験者・家族・療法士が楽しむ文化祭みたいなイベント(写真1)で講演をしたり、障害を持った人々のバリアフリーダイビングの大会に帯同したり(写真2)と、当初抱いていた医師像に近づくように私なりに自分が出来ることに取り組んでいます。その甲斐あってか、医師だけでなく色々な方々と繋がりあうことができ、とても感謝しております。
写真1:講演の様子
写真2:バリアフリーダイビング 関東大会